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ベアドッグについて

BEAR DOGベアドッグで、
クマを傷つけずに人を守る

ベアドッグとは、クマの匂いや気配を察知するための特別な訓練を受けた犬です。スタッフの指示に従い、大きな声で吠えたてて、クマを森の奥に追い払うことができます。ピッキオは、2004年にアメリカのベアドッグ育成機関Wind River Bear Instituteから、日本で初めてベアドッグを導入しました。

ベアドッグの仕事

ベアドッグの仕事1追い払い

ベアドッグの最も重要な仕事です。スタッフの指示に従い、大きな声で吠えて、人の居住エリア近くにいるクマを森の奥へ追い払います。クマは学習能力が高いため、追い払いを繰り返すうちに「いてはいけない場所」を理解するようになります。ベアドッグはクマに襲いかかることはせず、一定の距離を保つことが得意なので、クマも犬も傷つかずに済みます。

ベアドッグの仕事2移動経路の特定

ベアドッグは、クマの匂いに反応するように訓練されています。住民の方などからの通報を受けて目撃現場に駆け付けた際、既にクマの姿が見当たらなくても、匂いでクマの移動経路を特定し、付近の安全を確認することができます。移動経路が分かれば、今後の侵入を防ぐことにつながります。

ベアドッグの仕事3スタッフの安全確保

電波発信器をつけていないクマが藪に潜んでいるような場合でも、匂いや音でクマの存在を察知して知らせてくれます。夜間を含め、スタッフは安全に活動することができます。

ベアドッグの仕事4ヒトとクマの親善大使

ピッキオでは、クマの生態を知り、被害を避けるための方法を学ぶ出張講座を行っています。ベアドッグはこのような場所に同席し、ヒトとクマとの共存を呼びかける親善大使の役割を担っています。

ベアドッグの育成

日本初の繁殖に成功

ピッキオのメスのベアドッグ「タマ」が2018年3月31日深夜から4月1日正午にかけて、6頭の子犬を出産しました。これは日本におけるベアドッグの初めての出産です。

これまでは、すべてアメリカのベアドッグ育成機関Wind River Bear Instituteから犬を譲り受けていましたが、幼少期の十分な訓練やノウハウの蓄積をめざして、2017年夏に「ベアドッグ繁殖プロジェクト」を始動。多くの個人・団体から600万円(*1)を超える支援が寄せられ、出産に至りました(*2)。

2018年4月1日現在

繁殖のための小屋の建設や、アメリカからオス犬を呼び寄せ交配させるための費用に充てられました。

適性テストを経て

実は、すべての子犬がベアドッグとして働けるわけではありません。生後3カ月を過ぎた頃に行う適性テストを経て、素質のある子犬をベアドッグとして訓練します。約3週間にわたるテストを経て、2頭の子犬がベアドッグとして訓練を積むことに決まりました。

ピッキオのベアドッグたち

ナヌック(♂)

ナヌックとはイヌイット語でクマのこと。ピッキオのベアドッグの中で最も体が大きく、大きな耳でクマをはじめとする野生動物の物音をキャッチするのが得意です。性格はおおらか。細かいことには動じません。タマのきょうだい犬。レラとエルフのおじさん。2014年3月26日生まれ。

タマ(♀)

ピッキオの初代ベアドッグ「ブレット(bullet=鉄砲の弾)」にちなんで、生まれ故郷のアメリカで「たま」と命名されました。匂いを嗅ぐことが大好き。口や足の先に豆大福のように黒い斑点模様があるのが特徴です。ナヌックのきょうだい犬。レラとエルフの母。2014年3月26日生まれ。

レラ(♀)

レラとは、アイヌ語で風の意味。犬を使ったヒトとクマとの共存の手法を確立したWind River Bear Instituteに敬意を表しました。誕生直後から独立心が強く、他の子犬とは違う行動をしていることが、しばしば。怖いもの知らずで勇敢、かつ、人と一緒に行動するのが大好きです。2018年3月31日23:13生まれ。

エルフ(♀)

生まれた時は呼吸をしておらず、スタッフの懸命の蘇生措置で一命を取り留めました。きょうだいの中で最も小さかったため、北欧神話の小さな神の名にあやかり命名しました。初めはできなかったことでも、すぐにできるようになる学習能力の高さが光ります。2018年4月1日10:08生まれ。

ブレット(♂)初代ベアドッグ

日本初のベアドッグとして、2004年にアメリカからやってきて以来、400回以上におよぶクマの追い払いを行いました。その姿は児童書「クマを追え!ブレット」(学研パブリッシング 2012 年刊)で紹介され、長野県ふるさとの森林づくり賞(平成25年度)を人間以外で初めて受賞しました。2013年4月19日永眠。

ベアドッグの犬種

ベアドッグにはカレリア犬という犬種を用いています。カレリア犬は、ロシアとフィンランドの国境地帯を原産とする犬で、古くからヒグマ猟の場で活躍してきました。独立心が強い大型犬であり、吠え声が大きく、運動量が多いことから、愛玩犬としての飼育にはあまり向かない犬種です。

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