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クマ保護管理について

WILD BEAR調査を元にヒトと
クマをどちらも守る

ツキノワグマは、食べ物のほとんどを植物に頼り、性質も臆病な動物です。それでも、状況によっては人身事故を起こす可能性があり、農林業被害や精神的な被害をもたらすことも事実です。多くの地域ではクマを駆除することで被害をなくそうとしてきましたが、この方法では、あまり効果がありません。なぜなら、駆除したクマが被害を起こしたクマであるとは限らず、 真の原因を取り除かない限り被害は続くからです。ピッキオは、調査データを元に根拠ある対策をすることで、ヒトとクマが適度な距離を保ちながら、共に暮らす方法を模索しています。そして「ヒトの安全を守ること」と「野生のクマを絶滅させないこと」、この両立をめざしています。

クマの個性を見極め、
駆除に頼らず被害を防ぐ

クマは1頭1頭の個性が強く、行動の範囲やパターンがそれぞれ異なります。警戒心が強くめったに目撃されないものがいる一方で、人の居住エリアでたびたび目撃されるものもいます。ピッキオは軽井沢町の委託を受け、クマに電波発信器を装着し、行動を追跡。被害を出す可能性が高いクマとそうでないクマを識別することで、有効な対策につなげています。

手順1電波発信器の装着

罠で捕獲したクマに麻酔をかけ、首輪型の電波発信器を取りつけます。同時にクマの身長や体重などを測定したり、DNA解析のための毛根を採取したりします。

手順2学習放獣

電波発信器を装着したクマを森に戻します。人やベアドッグの大声、ゴム弾などで威嚇しながら放獣することで「人や犬は怖い」とクマに覚えさせます。

手順3行動追跡

軽井沢町内を移動しながら、電波を受信してクマの位置を確認します。この結果をもとに、追い払いの対象とするクマを決定します。

手順4追い払い

スタッフの指示のもとに、ベアドッグが大きな声で吠えて、人の居住エリア付近にいるクマを傷つけることなく森の奥に帰します。

共存の環境を整える

まずはクマによる被害を減らすことが、共存には欠かせません。ピッキオはクマを引き寄せる原因を取り除き、安心して暮らすための様々な取り組みをしています。また、クマの専門家だけの力で共存は成し得ません。地域の未来を担う子供たちや、クマ保護管理を志す学生への教育活動にも取り組んでいます。

野生動物対策ゴミ箱

かつての軽井沢では、ゴミに餌付いたクマが頻繁に出没していました。そこで、クマには開けられないゴミ箱を新たに開発。2003年より公共ゴミ集積所に順次導入しました。1999年に年間100件を超えていた被害は2009年に0件になり、現在まで1桁台を維持しています。

電気柵の緊急レンタル

電気柵は農地を守ったり、クマの通り道を遮断したりするのに有効です。ピッキオでは、電気柵の購入を検討している個人を対象に、その効果を実感してもらうため、電気柵の貸し出しをしています。軽井沢町には電気柵購入費の補助制度があり、制度の紹介も行っています。

通報の受付と現場検証

軽井沢町内でクマの目撃があると、ピッキオに直接、または町役場や警察を通して情報が寄せられます。状況に応じて現場に向かい、クマを引き寄せる原因(ハチの巣、コンポスト、クマが好む木の実など)がないかを確認したり、被害を防ぐための方法を考えたりします。

クマ情報看板の設置

クマの目撃情報が寄せられた地点に、目撃日時や対処方法などを記載した看板を設置しています。長期間にわたり設置したままだと、注意喚起の効果が薄れるため、2週間程度で撤去します。

藪の刈り払い

クマは開けた場所を嫌い、見通しの悪い藪に身を隠して移動します。藪に潜んでいるクマとばったり出会うことないよう、地域のみなさんと一緒に、小学校に近い国有林の藪の刈り払いを行っています。

錯誤捕獲されたクマの解放

シカやイノシシを捕獲するための罠に、違う動物がかかってしまうことを錯誤捕獲と言います。長野県の「クマ対策員」として委託を受け、錯誤捕獲されたクマを罠から解放しています。

小学校での教育活動

軽井沢町内すべての小学校で、特別授業を実施しています。クマの被害を防ぐ方法の他、クマをはじめとする野生動物との共存について、児童の発達段階に応じて学べる内容です。

インターンシップの受け入れ

次世代の人材育成を見据えて、クマ保護管理について学ぶインターンシップの学生を受け入れています。日本国内の大学や専門学校の他、ドイツやアメリカからなど、海外からの学生も増えています。

クマとクマが
暮らす環境を知る

クマは何を食べ、どこで冬眠しているのか。いつ子供を生むのか。クマという野生生物をよく知ることは、共存のための基本です。

木の実の豊凶調査

クマの食べ物となる木の実の結実状況を調べています。凶作の場合は、人の居住エリアでのクマの目撃が増える可能性があります。夏の食べ物として、ウワミズザクラとミズキ、秋の食べ物としてミズナラ、コナラ、クリを調査対象にしています。

冬眠穴の調査

標識をつけたメスグマの出産状況を把握するため、冬眠穴の前に自動撮影カメラを設置しています。

糞の分析

糞を分析することで、クマの食生活が分かります。春は様々な種類の草、初夏~夏はキイチゴやサクランボ、クワの実などの果実やアリ、秋はクリやドングリをよく食べており、旬の植物を中心とした食生活を送っていることが分かります。

ご支援のお願い

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WILD BEARS FOR THE FUTURE
野生のクマを未来へ。そう願う、あなたの力を私たちに貸してください。支援の輪が広がることで、目の前の被害対策だけでなく、調査研究や人材育成など、将来を見据えた活動の幅を広げることができます。
野生のクマを未来へ。ヒトとクマとの共存のために、あなたの力を貸してください。

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