人は人として、クマはクマとして
ピッキオでは人の安全を確保しつつ、クマの駆除を減らすために、(1)クマへの対策、(2)被害をおこす原因の除去、(3)人々への普及・啓発を行っています。

 さまざまな生き物の存在(生物多様性)とそのネットワーク(生態系)を維持することは、 人類が生存するために必要不可欠です。しかし、地域で営まれている人間の生活を維持する ことも重要な課題です。野生動物と共存しながら農林業などへの被害を減らすためには、科学的な調査とそれに基づく対策を行うしかありません。

 ピッキオでは、軽井沢が直面しているツキノワグマの問題と、浅間山麓の生態系に影響を与え始めたアライグマの問題に集中して取り組んできました。

駆除では解決しないツキノワグマ問題
 ツキノワグマは臆病で、食物のほとんどが植物であるとはいえ、人身事故を起こす可能性のある動物です。また、農林業被害や精神的な被害をもたらします。

 多くの地域で、人間はツキノワグマを無差別に殺し、生息数を減らすということで被害をなくそうとしてきました。この方法は、一見効果的なようですが、実はあまり効果がありません。なぜなら、殺したクマが被害を起こす「危険な」クマであるとは限りませんし、 原因 を取り除かない限り、被害は続くからです。

なぜツキノワグマは人里にやってくるのか
 ツキノワグマが人里に出没すると、「(森が豊かで)森の中でクマが増えたから、人里に下りてきた」とか、「森が豊かでなくなったので、人里に下りてきた」とか言われます。こ の両極端の意見については、科学的に調べてみないと本当かどうかわかりません。


道端に山積みになったゴミ
 一方、人里においしいものがあって、それが森の中よりも簡単に得られるなら、ツキノワ グマは人里へやってくるという事実があります。森の中でクマが増えていても減っていても 関係なく、彼らはなわばりを持たないために、遠くからでもやってきます。

人間とツキノワグマが安全な距離を保つために
 ピッキオでは、軽井沢の人家周辺に出没するツキノワグマ一頭一頭の行動を監視し、 人と人里 の怖さを教え込むことによって、クマに人間の生活区域を回避させようとしています。 また、人間の生活区域を回避させるためには、クマにとって魅力のある食物を与えないようにし、 同時に 彼らが生活する環境を充実させることも必要です。私たちはこれらのための調査と対策を 進めています。

ツキノワグマの捕獲
詳しくは→ ■軽井沢町の現状


駆除を避ける努力と効果的な駆除
 さらに、ツキノワグマに人や人里の怖さを教え込む効果を上げるために、ベアドッグと呼ばれる クマ対策犬を導入し始めました。これらの方法で、できるだけ多くのクマを山に帰しますが、それ でも人を怖れないクマは特定して駆除します。駆除は最終手段であり、その実行に際しては、 被害の程度をはじめとして、そのクマの行動、場所の状況、対策全体のバランスなどから多角的に 判断します。
詳しくは→ ■ピッキオのツキノワグマ対策


生態系を破壊するアライグマ
 それぞれの地域には、長い歴史の中でつくられ、絶妙なバランスで成立している固有の生態系があり ます。したがって、もともとその地域にはいなかった動植物が侵入すると、生態系が大きく崩れてしま います。日本各地でブラックバスやアレチウリなどが分布を拡大して問題になっていますが、軽井沢で はアライグマが野生化し始めました。

アライグマ
ピッキオでは、軽井沢の生態系を保全するために、アライグマの排除を進めてきました。
詳しくは→ ■アライグマ防除