ツキノワグマってどんな動物?
皆さんはツキノワグマについてどんなイメージをお持ちですか?ツキノワグマと共存するためには、彼らの実像を理解することが必要です。

棲んでいる場所

ツキノワグマの分布
■ツキノワグマは本州以南に生息しており、ヒグマは北海道だけに生息しています。ちなみに、ロシアではヒグマとツキノワグマの両方が生息する地域もあります。
■西日本ではツキノワグマの数が少なく、九州では目撃情報がほとんどありません。また、道路などによって、生息域が分断されている地域が数多くあります。
■ツキノワグマは、秋にドングリをたくさん食べなければ生きていけません。このため、分布域はブナやミズナラなどの広葉樹林帯とほぼ一致しています。

体の特徴

ツキノワグマのシルエット
■大きさ:全長1.2〜1.4m、体重60〜140kgくらい。オスの方がメスより一回り大きい。体は柔らかく、かなり狭い隙間にも入ることができる。
■鼻(嗅覚):非常に鋭く、食べ物などを敏感にかぎ分ける。
■目(視覚):あまり良くなく、認識できない色があるといわれている。
■耳(聴覚):大変良いが、何かに熱中すると周りの音が気にならなくなるらしい。
■月の輪:胸にある白い模様。形や大きさは一頭一頭で異なり、月の輪が全くないものもいる。
■爪:穴を掘ったり木を登ったりする時に使われるほか、身を守る時には最大の武器になる。
■脚:意外にも動きは素早く、全力で走ると時速40kmも出るらしい。木登りが得意で、泳ぐこともできる。
■歯:鋭い犬歯と、物をすりつぶす臼歯を持っており、何でも食べられる。

ツキノワグマの棲む森では
 森の中には、足跡や食べた跡、糞など、「そこで動物が生きている」というさまざまな証が残されています。それらを「痕跡」と呼びます。森へ入る時には注意して探してみましょう。

足跡

幅10cmくらい

クマ棚

樹上で木の実を食べた跡


形は食べたものによってさまざま



樹皮に残された爪あと

一年間の暮らし


ツキノワグマの一年
■春:冬眠から覚めると、芽吹いた草や木々の葉を食べます。子供を産んだメスは、オスよりも少し遅く冬眠穴から出てきます。なお、ツキノワグマは子グマを連れた母グマを除いて、ふつうは単独で生活しています。
■初夏:交尾期です。ツキノワグマは一夫一婦ではなく、不特定の相手と交尾を行います。また、1歳半または2歳半の子グマは、この時期に母グマと別れます。
■夏:緑豊かな季節ですが、ツキノワグマにとっては食べ物が少ない時期。アリなどの昆虫を食べたりしていますが、ゴミにつられて人里へ出てくることもあります。
■秋:冬眠するために、ブナやミズナラ、クリなどの木の実を大量に食べて脂肪を蓄えます。これらの木の実が不作であった年には、人里への出没が増えるようです。また、メスはこの時期に脂肪を十分に蓄えないと、妊娠できないことがあるといわれています。
■冬:樹洞や岩の下などで冬眠します。しかし、完全に眠っているわけではなく、体温はあまり下がりません。妊娠したメスは冬眠中に子供を産みます。

ツキノワグマが起こすさまざまな被害

壊されたゴミ集積所

被害にあったトウモロコシ畑

樹皮を剥がれた植林木
■人身事故:山菜取りや渓流釣りをしていてツキノワグマにばったり遭遇してしまうケースが目立ちます。全国で毎年1名ほどの死者が出ています。
■農林業被害:トウモロコシや果樹などの農作物、スギなどの林木が食べられる被害です。
■精神的な被害:人家の周りにツキノワグマを引き寄せるものがあると、人里への出没が常習化してしまいます。行動がエスカレートした場合、人身事故のおそれもあり、そのような懸念が人々に恐怖心をもたらします。